個展「KOKORO NO OTO」にお越しいただきましてありがとうございました。
ここのところ、震災や原発などで心の痛みに多く触れる機会がありました。私は、妹を15年近く前に飲酒運転の車にはねられて突然の不慮の事故で亡く しています。その後、母が「飲酒運転は殺人行為、犯罪。ハートを通して繋がる未来」ということを多くの人に伝えていきたいとアメリカに本部がある世界最大 のボランティア組織MADDで数年をかけアメリカと日本を往復しながら被害者と加害者の関係、自己意識、その後の対処法などを具体的にテキストとして学 び、日本で活動する為のライセンスを取得して、2002年に内閣府認定のNPO法人となり、日本で活動を続けてきました。
そして、活動の主軸をになってきた母が2011年の春に喉頭癌で「めぐみ、あとはお願いします」と亡くなったこと、数年前に母を支えていた父も肺を 患い、母に手を握ってもらったまま安らかに亡くなったこともあり、私がそのNPOの代表として企業や高校や大学のゼミなどで「心の痛みと向き合う、優しさ とその先へ」ということなどについて、色々な環境の人がわかりやすく社会の中において実践できるように、具体的なテキストを制作しながら授業や講演、ワー クショップを開いています。
家族や大切な人を亡くしてしまった人達は「色が世界から無くなってしまった。モノクロームの世界の時間」「自分を責めてしまう疎外感」「どれだけ病 院に付き添っていても亡くなってしまったことで、絶たれた気持ちの交流や肌に触れるということができなくなり、心の消化不良が起こりやがて怒りを内包して しまう」という状態になってしまいます。それは、どんな人にで起きることで、ぶつかってしまう壁のようなものでもあります。
その状況の人達に会うことにより、悲しむことや疎外感や諦めと怒りから容易ではないかもしれませんが、心の葛藤を整理することの重要性と、私自身が理解できるのだから見て見ぬふりはしないよう、心の痛みを切り捨てないようにしたいと考え、展示をすることにしました。
見てくださった方々へ心から感謝しています。また次回、お会いできますことを楽しみに。
十勝トリエンナーレは「日本」というコンセプトでの募集でした。こちらは入選はしなかったのですが展示作品として選んでいただき展示されていました。http://tokachi-poster-award.com/